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【コラム】よくかむってどういうこと?
2015/09/16
歯医者さんや先生に「よく噛みなさい」と言われるお子様方は多いかと思います。
一口30回かみなさい、と言われたり 厚生労働省の指針で噛ミング30とかあったりします。
何故ご飯をたくさん嚙まなければいけないのか?という疑問の回答はわかるものの、どうやって嚙んだら良いのかというところまでは教わっていないのが事実です。
そこを歯科の観点から考えてみましょう。
ご飯をたくさん噛むと良いことはたくさんあるのは皆さんご存知の通りです。
1唾液が出る→ご飯を洗い流してくれるから虫歯になりにくい。消化が良くなるので胃腸に負担をかけにくい。
2筋肉が動く→良い顔になる。顔の周りの筋肉の筋トレにもなるので、美顔効果につながります。
3脳へ刺激が行く→頭が賢くなって成績アップ!朝食を食べることが大事なのもわかります。
上記の三点は巷でもよく言われることです。
そして…歯科的に考えると
4骨が成長する→歯並びが良くなる
よく噛むことで歯並びが良くなる!?なんてご存知でしたか?
ご飯を噛むと歯の周りの膜、歯根膜を通じて歯の周りの骨へ刺激が行きます。そうすることで骨が活性化し、顎の成長につながるのです。
顎が成長すると歯が並ぶスペースも確保できるため、歯並びが良くなるのです。
まるで「風桶現象」ですね!(風桶→風が吹けば桶屋が儲かる、の略…造語ですみません)
では、どういう嚙み方をしたらよいのでしょうか?
モンゴルの一部の子供たちは羊の骨付き肉をかじり取るために、前歯と唇を使って咀嚼の一歩手前の「捕食」しています。
前歯でかじりつく、その行為がまず前歯が植わっている骨の成長につながり、顔面をきれいに形作ります。
また、唇をしっかり閉じてかぶりつくことで口輪筋の力もつきます。
前歯の歯並びは唇を閉じないと出っ歯になります。
口呼吸の子供たちが出っ歯になることが多いのはそのためです。
前歯でかじりついた後は奥歯でもぐもぐ!ここでいつも言われている30回嚙みなさい!が発揮されます。
捕食してからの咀嚼。
近頃の料理は圧力鍋やオーブンレンジの発達で忙しいお母さんもすぐに柔らかい食べ物が作れるようになりました。
しかしながら、人間本来のかぶりつく、前歯でかじる行為が減ってきているのも事実です。
徳川家の墓石移転による骨格の法医学的調査で将軍たちの出っ歯が多かったのも、彼らの食生活が小さく切ったおしとやかな食事によるものだったからとも言われています。
お家での食事で少し大きめに切って煮込み時間もそこそこに、まずは子供たちに前歯で嚙まざるを得ない状況をつくってみると、矯正装置を使わずに自然に綺麗な歯並びになってくれることと思います。
参考文献
鈴木設矢 「歯並びのバイオセラピー 食育」
岡崎好英 Facebook記事 「モンゴル通信その4」
鈴木尚「骨は語る・徳川大名家の人々」